恋に落ちた日

12/18
前へ
/18ページ
次へ
「……ありがとうございます」 いつから惹かれていたのかなんてわからないくらい。 この人はいつの間にか私の心に入ってきて、そして私の心を独占していた。 だけど私はこの想いに気付きたくなかったのかもしれない。 気付いてしまったら……もう後戻りはできないから。 「食わねーの?」 「……いただきます」 口にしたケーキは甘くて、だけど苺の甘酸っぱさもあって、私の凄く好きな味だった。 「鳴海さんは食べないんですか?」 「いらね。だって見るからに甘いだろ、それ」 ケーキを見ながら険しい表情を浮かべる鳴海さん。 自分の気持ちに気付いてしまったら、違う角度から彼を見たくなる。 何度でも、いろんな彼の表情を見たくなる。 ……だけど、こんな事を考える私は、最低なのかもしれない。 ほんの数時間前に2年間付き合った彼と別れたばかりなのに。 あまりにも都合が良すぎる。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

644人が本棚に入れています
本棚に追加