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レストランから出てきて、泣いていた私を呼び止めた人。
今私は、その人の車の助手席に乗っている。
沈黙が流れる車内。
聞こえるのは洋楽のBGMだけ。
ちらっと運転している鳴海さんの顔を覗き込むと、相変わらずのクールな表情。
何か言わなくちゃ……。
「あの」
「何?」
「鳴海さん、どうしてここに……?明日まで出張って聞いてたのでビックリしちゃって……」
「また仙堂に聞いたのか?俺が出張だって」
この口調、怒ってる……?
「はい、すみません……」
「なんでお前が謝るんだよ」
だって鳴海さんの顔が恐いから……なんて絶対に言えない。
「それより」
車が赤信号で止まり、鳴海さんが私の顔を見た。
今絶対顔汚いから、あんまり見ないでほしいのに。
鳴海さんの視線は、いつでも私を真っ直ぐに見つめてくる。
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