恋に落ちた日

2/18
前へ
/18ページ
次へ
レストランから出てきて、泣いていた私を呼び止めた人。 今私は、その人の車の助手席に乗っている。 沈黙が流れる車内。 聞こえるのは洋楽のBGMだけ。 ちらっと運転している鳴海さんの顔を覗き込むと、相変わらずのクールな表情。 何か言わなくちゃ……。 「あの」 「何?」 「鳴海さん、どうしてここに……?明日まで出張って聞いてたのでビックリしちゃって……」 「また仙堂に聞いたのか?俺が出張だって」 この口調、怒ってる……? 「はい、すみません……」 「なんでお前が謝るんだよ」 だって鳴海さんの顔が恐いから……なんて絶対に言えない。 「それより」 車が赤信号で止まり、鳴海さんが私の顔を見た。 今絶対顔汚いから、あんまり見ないでほしいのに。 鳴海さんの視線は、いつでも私を真っ直ぐに見つめてくる。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

644人が本棚に入れています
本棚に追加