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「何食いたい?どこでも連れてってやるよ」
「え……」
どうしよう。
今食べたいものってなんだろう。
「じゃあ……いつもの定食屋さんに行きたいです!」
おじさんの作る鯖の味噌煮定食。
自分で作ってみたけど、どうしてもあのお店の味は出せなかった。
「お前、バカか?」
「え?」
見ると、心底呆れたように私を見る鳴海さん。
「なんでわざわざ誕生日に、あんなとこで食事しなきゃいけねーんだよ。却下」
あんなとこって……ヒドイ。
「だって、鳴海さんが食べたいもの聞いたから」
そう言いながら疑問が浮かんだ。
私、今日が誕生日って、鳴海さんに教えたっけ?
「たまにはお前と違う店に行きたいんだけど。俺ら、あそこしか行ったことねーじゃん」
いつもクールな鳴海さんが、少し拗ねた表情で呟いた。
なんか、かわいいかも……。
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