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その日の夜。
仕事が終わりスーパーに寄ってから家に帰宅して、いつも通り自炊をする。
録画していたドラマを見ながら、作った食事を黙々と食べる。
私の好きな豚の生姜焼き。
なのに、全然美味しくない。
大好きなドラマにも、全く集中できない。
結局家に帰ってきても、今夜鳴海さんと香那さんが一緒にいるんだと思うと気になってしまう。
考えてたって、仕方ない。
食事を終わらせて、気分転換に部屋の掃除を始めた。
陽くんと別れてから、陽くんとの思い出のものは全て処分した。
陽くんから貰ったプレゼントも、2人で撮った写真も、全部。
その筈だったのに、念入りに掃除をしていると1冊のアルバムが棚の後ろに落ちているのを見つけた。
開いてみると、まだ2年前陽くんと付き合い始めた頃の写真。
写真の中の私は、幸せそうに笑っていた。
だけど今はもう、この写真を撮った幸せだった頃に、戻りたいとは思えない。
あの頃よりも好きな人に出会ってしまったから。
私の心に簡単に入ってきた彼の存在を、知ってしまったから。
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