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「もしもし」
この声を聞いただけで、私の意志とは関係なく胸が高鳴る。
「鳴海さん……こんばんは……」
電話の奥からは、ガヤガヤとした騒ぎ声が聞こえてくる。
時計を見るとまだ21時頃。
きっと今盛り上がっている頃なのに、こんなときに電話なんかしてウザイって思われるに決まってる。
「あ、あの、すみません!電話なんかしちゃって……」
「いや、別にいいけど。どうした?お前から電話くるなんて珍しいじゃん」
どうした?だなんて、電話をかけようと思った理由なんて1つしかない。
「……何黙ってんだよ。聞いてんの?」
「き、聞こえてます!あの、誤って電話かけちゃって……」
「は?何だよそれ」
違う。
正確にはそうなんだけど、本当は違う。
本当は、ただ2人の事が気になって仕方なかったんだ。
「……ごめんなさい、嘘です。本当は、ずっと気になって仕方なかったんです。……鳴海さんと香那さんが今一緒にいると思うと、どうしても気になってしまって……」
ちゃんと思っている事を伝えなくちゃ、何も変わらないし変えられない。
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