大きな動揺

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「ただそれだけの理由で電話しちゃいました。……ごめんなさい、楽しんでる途中に」 電話の奥からは何も聞こえてこない。 「あの、鳴海さん……?」 どうしよう、私今勢いで凄い事言っちゃった……? 絶対、迷惑だと思われてるに違いない。 「すみません!電話切りますね」 そこまで言うと、勢いよく私の言葉に鳴海さんの声が被さってきた。 「待てバカ、切るな。……今、外出たから」 「え……」 さっきまで聞こえていたお店の音や声は、何一つ聞こえてこない。 聞こえてくるのは、鳴海さんの低くて優しい声だけ。 「まだ当分帰れそうにはないけど。仙堂のバカが酔っ払って酷い事になってるから」 「どれだけ飲んだんですか、仙堂さん……」 「仙堂の事はどうでもいい。それよりお前……なんなの?マジで。……素直すぎるだろ」 そう言って鳴海さんは、電話の奥で深く溜め息をついた。
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