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結局鳴海さんと香那さんの事は気になったままだけど、少しだけさっきよりも胸の中のモヤモヤが晴れた気がした。
鳴海さんの声が聞けたから。
香那さんといるときでも、電話に出てくれたから。
今日は気持ちを伝えるタイミングを失ってしまったけれど、また伝える機会は来るはず。
今度2人きりで会う機会があったら、必ず伝えよう。
そう決心したけれど、本当にタイミングって、大事なのかもしれない。
翌日から鳴海さんは、仕事がかなり多忙になってしまって2人で会うどころか、社内で顔を合わせる事も少なくなってしまった。
それでも受付にいれば毎日顔は見れるけれど、ゆっくり話す暇なんてないほど、営業部は忙しそうだった。
「前から目星付けてた大口の取引先が決まりそうなんだって。だから営業部全体が殺気立ってるらしいよ。営業事務の子がこないだ愚痴ってた」
「雪ちゃんって、社内のこと何でも知ってるね」
「絵麻が知らなすぎなだけよ。とにかく今は鳴海さんに接触しない方がいいかもね」
「……うん、そうだね」
仕事の邪魔だけは、絶対にしたくない。
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