大きな動揺

22/24
662人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「大学のときね、サークルの飲み会で酔っ払った先輩に絡まれた事があったんだけど……そのとき助けてくれたのが鳴海くんだったの。それまで冷たくて謎な人だとしか思ってなかったんだけど、その日から意識しちゃって。それでいつの間にか、好きになってた」 気が付いたら、その人の事しか考えられなくなっている。 会いたくて仕方なくなる。 本当に、恋に落ちるってそういう事なんだと思う。 いつの間にか、心の中に彼がいる。 「だけど付き合ってた2年間、彼の気持ちが正直わからなかったな。2年間で一度も好きだなんて言われた事なかったから。それで結局私から別れたいって言ったの。勝手だよね」 「……そんな事ないです。相手の気持ちが伝わらないと、誰だって不安になると思います」 付き合っているのに、相手の気持ちがわからないほど不安な事はない。 私は陽くんと付き合っていたとき、『愛してる』って会う度言われても、結局不安は消えなかった。 愛されている自信がずっと持てなかった。 だけど大事なのは、きっと言葉なんかじゃなくて、一緒に過ごす時間なのかもしれない。 愛されることを望むよりも、自分が凄く相手を好きならそれでいいと思えるようになりたい。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!