大きな動揺

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「仙堂さんのお知り合いですか?」 冷たい口調で聞いた雪ちゃんの問いかけに、仙堂さんは嬉しそうに話し始めた。 「そうそう、この子は吉井香那ちゃん。俺と鳴海の大学のときの同級生なんだよ」 大学のときの、同級生。 じゃあこの人は……昔の鳴海さんを知ってるんだ。  「香那ちゃん、この左の子が雪ちゃんね。社内で1番の美人だから。で、この右の子が伊咲ちゃん。実は伊咲ちゃんは、今タケルといい感じなんだよ」 「せ、仙堂さん!」 この人、こんな軽い感じで社内の人達に言いふらしてたりしないよね……? 「鳴海くんと……?へぇ、そうなんだ。初めまして、吉井香那といいます。フリーでイラストレーターをやってるんです。良かったら、今度個展見に来て下さい」 そう言って優しく微笑んだ香那さんは、私と雪ちゃんそれぞれに名刺を渡してくれた。 「香那ちゃん、いつ日本に戻ってきたの?」 「先週かな。それまでもちょこちょこ日本には来てたんだけど、仕事で忙しくてこっちに長くいれなくて。でもこれからは、日本に拠点移すから」 「そっか。じゃあ今度飲もうよ!タケルにも言っておくからさ」 鳴海さんがここにいなくて良かったと内心ほっとした。
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