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「うん、楽しみにしてるね。あ、すみませんお騒がせしてしまって」
私と雪ちゃんに律儀に謝りながら、申し訳なさそうに微笑む香那さん。
その顔を見て、誰かに雰囲気が似ている気がした。
「じゃあ私そろそろ行くね。今からこの近くで打ち合わせがあるから」
そう言って香那さんが出て行こうとしたとき。
正面玄関から、会社に入ってくる人影が見えた。
多分、私が誰よりも先に気付いたと思う。
それは、外回りを終えた鳴海さんだった。
「鳴海くん……」
どうしてこんなタイミングで。
まるでこの2人がここで再会するのが必然だったかのように。
社内に入ってきた鳴海さんは、私達の視線にすぐに気付いた。
「何お前ら全員揃ってこっち見て……」
そこまで口にして、鳴海さんの表情が一気に変わった。
「……香那?」
その瞬間、香那さんは今日1番の可愛い笑顔を鳴海さんに向けた。
気付きたくなんてないのに、気付いてしまう。
きっと過去にこの2人の間には、何かがあったんだと。
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