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「タケルもまんざらでもなさそうだし」
鳴海さんの心が、香那さんの元へ行ってしまう。
他の女性のモノになってしまう。
それだけは……絶対に嫌だ。
「2人は今日、どこで会ってるんですか?……教えて下さい仙堂さん」
「もし伊咲ちゃんが聞いてこなかったら、場所まで教えるつもりはなかったけど。聞いてきたら、最初から教えるつもりだったよ」
そう言って、仙堂さんは今鳴海さんと香那さんが2人で会っている場所を教えてくれた。
「ありがとうございます」
「後悔しないようにね、伊咲ちゃん」
「……はい」
電話を切ると、おばさんが私よりも慌てた表情で私を見ていた。
「なんかよくわからないけど、鳴海くんのことでしょ?今すぐ行きなさい絵麻ちゃん!」
「おばさん、すみません!せっかくの食事残してしまって……」
「そんなのいいから!急ぎなさい!」
「行ってきます」
お店を出て、走った。
こんなに全速力で走るのは、何年ぶりだろうっていうくらい。
お願い、間に合って。
鳴海さんだけは、誰にも譲れないの。
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