誰にも譲れない恋

7/20

598人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「タケルもまんざらでもなさそうだし」 鳴海さんの心が、香那さんの元へ行ってしまう。 他の女性のモノになってしまう。 それだけは……絶対に嫌だ。 「2人は今日、どこで会ってるんですか?……教えて下さい仙堂さん」 「もし伊咲ちゃんが聞いてこなかったら、場所まで教えるつもりはなかったけど。聞いてきたら、最初から教えるつもりだったよ」 そう言って、仙堂さんは今鳴海さんと香那さんが2人で会っている場所を教えてくれた。 「ありがとうございます」 「後悔しないようにね、伊咲ちゃん」 「……はい」 電話を切ると、おばさんが私よりも慌てた表情で私を見ていた。 「なんかよくわからないけど、鳴海くんのことでしょ?今すぐ行きなさい絵麻ちゃん!」 「おばさん、すみません!せっかくの食事残してしまって……」 「そんなのいいから!急ぎなさい!」 「行ってきます」 お店を出て、走った。 こんなに全速力で走るのは、何年ぶりだろうっていうくらい。 お願い、間に合って。 鳴海さんだけは、誰にも譲れないの。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

598人が本棚に入れています
本棚に追加