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「香那さんが鳴海さんを好きなのはわかってます!だけど私も、香那さんに負けないくらい好きなんです!だから、鳴海さんだけは絶対に譲れません……!」
思っていた事を、ずっと言いたかった事をやっと全て伝えた。
伝えた途端、堪えていた涙が次々と零れ落ちていく。
どうしよう、涙が止まらない。
慌てて涙を隠すために俯くと、一瞬私の髪に鳴海さんの大きな手が触れた。
恐る恐る見上げると、鳴海さんは今まで見たことのないくらい優しい表情で私を見つめて、ふっと笑った。
その笑顔に、思わず見とれてしまう。
すると鳴海さんは、私の右手を掴んで立ち上がった。
「じゃあ、そういう事だから。コイツ連れて、帰るわ」
「うん、良かったね鳴海くん」
香那さんが、嬉しそうに微笑んで鳴海さんに良かったねと声をかける。
……え?
「あ、あの……」
「伊咲ちゃん、かわいいね。鳴海くんと本当にお似合いだよ。良かった……鳴海くんが選んだ子が伊咲ちゃんで」
微笑みながら香那さんが嬉しい事を言ってくれるけれど、全然状況が理解出来ていない私。
どういう事……?
香那さんは鳴海さんのことが好きなんじゃ……。
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