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そして翌朝。
荒い息遣いと頬を這う舌の感触で目が覚めた。
一瞬俺の隣で眠る彼女かと思ったけど……絶対に違う。
目を開けると、目の前にはフサフサの毛が俺の鼻先を掠めた。
……犬?
「2人ともいつまで寝てんのー?もう朝だよ!チャコ起こしちゃいな」
襖の方を見ると、昨日遅くに寝たはずなのにすっかり今朝も元気な妹の姿。
「しかも布団1つで良かったんじゃん、どうせ一緒に寝るなら。鳴海さんやっぱり手出しちゃったの?」
「……出してねーし」
「絵里!朝から変なこと言わないでよ。おはようございます、鳴海さん」
ゴールデンレトリバーに顔を舐められながら、彼女が起き上がる。
「ぐっすり眠っちゃいましたね」
「だな」
すると階段を凄い勢いで降りてくる音が聞こえてきた。
見ると彼女の母親が、今にも出かける準備をしている。
「あっ鳴海くんおはよう!ごめんねもう少しゆっくり話したかったんだけど、急に仕事入っちゃったの。また今度ゆっくり泊まりに来てね」
「えぇ、是非また伺います」
「お母さん、仕事頑張ってね。無理しないようにね」
「ありがと絵麻。じゃあ行ってくるわ!またね」
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