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「じゃあお姉ちゃん、私も出掛けるから鍵閉めてきてねー」
「絵里ももう出掛けるの?」
「これから彼氏とデートなの。じゃ、鳴海さん!お姉ちゃんをお願いしまーす」
そうして嵐のように騒がしく2人は出て行った。
「なんかごめんなさい、朝から騒がしくて……もう少し寝てたかったですよね」
「いや、別にいいけど。とりあえず俺達も飯食って行くか。墓参り」
「……はい」
2人で軽く朝食を食べて、身支度を整えてから彼女の父親が眠る場所へ向かう。
その場所へ近付くにつれて、彼女の口数が徐々に減っていく。
運転をしながら横目に映る彼女は、またあの切ない表情を浮かべていた。
今にも泣き出しそうなあの顔。
彼女の実家から車を走らせて約30分。
やっと目的の場所に辿り着いた。
「お父さん、今日はサプライズだよ。……鳴海さんが、お父さんに会いに来てくれたよ」
綺麗に花が添えられ、綺麗に磨かれ手入れされた墓。
彼女と一緒に、手を合わせた。
彼女のことは、何があっても俺が守ります。
彼女の家族のことも。
あなたに代わって、必ず。
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