秘密の社内恋愛

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付き合って3ヶ月後の9月。 お父さんの命日がやってきた。 毎年この日だけは、家族3人で仕事や学校を休んで朝から墓参りに行く。 それが最近毎年の恒例だったけど、今年は新しくその恒例に加わってくれた人がいる。 「やっぱいいわねー鳴海くんが1人いるだけで、お墓の景色も違うわ」 「ホントホント!やっぱり女所帯にイケメンがいるだけで気持ちが潤うよねー」 「もう2人ともやめてよ!恥ずかしい」 「……2人とも相変わらずですね」 今年は、鳴海さんがわざわざ仕事を休んで私達3人と一緒に来てくれた。 急に昨日の夜、『明日俺も行くから』って言われたときはびっくりしたけど……やっぱり、一緒に来てくれたのは嬉しかった。 この日は結局お昼から実家で飲み会が始まって、鳴海さんは母と絵里に付き合って遅くまで苦手なお酒を飲んでくれた。 本当に幸せだと思った。 波乱なんていらない。 刺激なんて求めていない。 このまま穏やかに毎日を過ごしていけたら。 そう、願っていた。
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