秘密の社内恋愛

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そして、10月の第3週の土曜日。 この日は旅行日和の晴天。 朝、会社に集合して貸切バスでホテルへ向かう。 受付の私と雪ちゃんは、総務、経理と同じバス。 営業の鳴海さんは別のバスだから、まだ今日は顔さえ見れていない。 別のバスだと、ホテルに着く前に観光するルートも別だからホテルに着くまでは会えない。 このバスの盛り上げ役は、もちろん仙堂さんだった。 「伊咲ちゃん、雪ちゃん楽しんでる~?あ、ビール飲む?」 「あ……はい、ありがとうございます」 「仙堂さんってホントいつでも元気ですよね。ある意味尊敬するわ」 「だって楽しまなきゃ損でしょ。伊咲ちゃんは残念だったね、タケルと違うバスで」 いきなり仙堂さんが大きな声で鳴海さんの名前を出すから、慌てて仙堂さんの口を手で塞ぐ。 「仙堂さん……声大きいですっ」 「あれ、もしかしてまだタケルとの関係は内緒にしてんの?」 「……はい」 「まぁ、確かにバレたら噂はされるだろうけど……噂なんて意外とすぐ収まるもんだよ。みんなそんなに気にしないんじゃない?」 そうかもしれないけど……そうじゃないかもしれない。
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