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「すみません!思っていたよりも美容室の時間が長引いちゃって」
「間に合ったから別にいいけど」
一言、『綺麗だ』と言ってやりたいのに。
こういうとき、照れくさくてうまく言えない。
そのくせに、目は彼女から離せない。
「やっぱり変ですか……?」
「変?」
「実はいつもとお化粧少し変えたんです。ちょっと張り切り過ぎちゃいましたよね」
そう言いながら苦笑する彼女。
変だなんて、思うわけねーだろ。
そう口を開こうとした瞬間、仙堂が外に出てきた。
「あれっ伊咲ちゃん!いつもと雰囲気違くない?今日、凄い綺麗だね」
俺が言いたかったことを、いとも簡単にさらっと彼女に伝える仙堂。
コイツのこういうとこ、マジで嫌。
「ありがとうございます、仙堂さん」
仙堂の言葉を受けて、少し照れながら彼女が微笑む。
その笑顔を見つめながら、素直じゃない自分を軽く恨んだ。
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