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「絶対あれ、わざとですよね鳴海さん……」
社員旅行から帰ってきた夜。
今日は日曜日だから明日は仕事だけれど、無理やり俺の家に彼女を泊まらせた。
「わざとって何が?」
「何がって……あんな皆がいる所であんな事わざわざ言うなんて」
ブツブツと独り言のように呟きながら、ソファーの端に座って珍しくふてくされる彼女。
「しかも言うだけ言っていなくなっちゃうし、あの後大変だったんですから」
きっと質問攻めにあったに違いない。
困る彼女が簡単に想像できて、少し笑えてくる。
「もう、笑い事じゃないんですよ?みんなの勢い凄かったんですから……あれは拷問です」
「でも良かったじゃん。一気に知れ渡った方がいいだろ。結局いつかはバレるんだから」
「そうですけど……」
浮かない様子の彼女だけど、はっきり言って俺はかなりスッキリしている。
今までは好きでもない女との事で噂になるのは面倒くさかったけど。
相手がコイツなら、話は全然別。
むしろ早めに知れ渡ってくれないと、この先俺が困る。
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