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そう言うと、彼女は顔を赤くしながら握った手にぎゅっと力を入れた。
「……鳴海さん、それ、反則ですから。私の心臓、ドキドキし過ぎて壊れそうです」
ホントにコイツは、俺のこと何もわかってないんだな。
そんな事言われたら、この場で手出したくなるだろ。
そのときちょうどタイミングよく空車のタクシーが通りかかり、そのタクシーに2人で乗り込んだ。
行き先は俺のマンションにしようと思ったけど、変更した。
駅のすぐ近くに昨年できた、超高層ホテル。
俺もまだ泊まった事はないけれど、営業部の誰かが彼女をそこに連れて行って凄く良かったと騒いでいたのを思い出した。
「鳴海さんの家に行くんじゃないんですか?」
「たまにはいいだろ場所を変えるのも。それに、勿体ねーじゃん。……せっかくお前、綺麗なんだし」
「……鳴海さんに言われると、嬉しいです」
今日彼女に会った瞬間から、ずっと言いたかった言葉。
素直に思っていることを伝えるのは全く得意じゃない。
それでも、照れたように笑う彼女が見れるなら素直に伝えるのも悪くないと思った。
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