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「そういえばお前、さっき別れ際何か言いかけなかった?」
確か俺に、何かを言いかけようとしていたはず。
「え?別れ際……あ、別に何でもないです」
明らかに何を言いかけようとしていたか、思い出した顔。
こういうときはホント顔に出やすいのに。
肝心なときコイツは、自分の思っていることを見透かされないようにするから厄介だ。
「いいから言え」
「ホントに何でもないんです。くだらない事なんで」
「くだらなくてもいいから言え。早く」
そのやりとりをしつこく何度か繰り返していたら、タクシーの運転手のおっちゃんが勝手に話に入ってきた。
「お姉ちゃん、早く言ってあげな。この兄ちゃん、相当しつこいから言っちゃった方が早いよ」
相当しつこいって……。
何でそんな事、知らねーおっちゃんに言われなきゃなんねーんだよ。
つーかコイツ、隣でめちゃくちゃ笑い堪えてるし。
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