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チェックインをして、エレベーターで部屋へ向かう。
エレベーターの中から見える夜景に見とれる彼女。
その手に持った白いブーケを見ていると、さっきまでの白川と香那を思い出す。
あのとき。
結婚式で2人が幸せそうに笑う姿を見たとき。
俺は確かに思ったんだ。
いつか俺も、こんな風になりたいと。
そしてその相手は言うまでもなく、いつも俺の隣にいてくれる、彼女しかいない。
この先何年、何十年経ったとしても、それは変わらないだろう。
「絵麻」
名前を呼ぶと、『はい』と返事しながら俺の方を振り向く。
そんなしぐさでさえ、たまらなく感じてしまう自分はもうとっくに、重症かもしれない。
「鳴海さん?」
ゆっくりと彼女に近づき、さっき車内で出来なかったキスをした。
じっくりと彼女の柔らかく艶やかな唇を味わう。
彼女とキスをするとき、俺はいつも薄く目を開ける。
彼女のキスのときの表情も、彼女が俺に見せてくれる表情なら何だって全て目に焼きつけたいから。
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