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仕方なく黙って静観していたけど、アイツが他の男性社員に愛想よく酒を注いでるのが目に映る度にイライラしてくる。
見なきゃいいんだろうけど、無意識に視線は彼女を追ってしまう。
その上、俺の隣にはずっと化粧の濃い女が上目遣いで寄り添ってくる。
またイライラが更に増す。
しばらく耐えたけれど、限界になり近くにいた村瀬に声をかけた。
「悪い、村瀬。今から2時間は部屋に戻って来ないでほしいんだけど」
「わかりました。ごゆっくりどうぞ」
相変わらず勘の鋭いヤツで助かった。
宴会場を出て部屋に戻り、すぐに彼女にメールを打つ。
そして今すぐ部屋に来いとメールして数分後。
部屋のドアをノックする音が聞こえた。
随分早いとは思ったけど、特に気にせずドアを開けた。
目の前に立っていたのは、宴会でずっと俺の隣にいた女だった。
「鳴海さん、今ちょっといいですか?」
そう言いながら、女は勝手に部屋に入ってきた。
「何?勝手に入られるの迷惑なんだけど」
即座にそう言うと、女は潤んだ目でまた上目遣いで俺を見つめてきた。
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