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「私、今まで入社してからずっと鳴海さんのこと見てきたんです。私と鳴海さんなら……お似合いだと思いませんか?」
そう言いながら女は自分の着ている浴衣の帯を緩め始めた。
そしてあっという間に素肌が露わになり、俺の体に抱きついてくる。
「鳴海さんが社内の女性に手を出さない噂は知ってます。だから、今日の事は私、誰にも言いませんから……」
「その噂は間違ってるな。もうだいぶ前から」
「え……?」
「俺の相手はお前なんかじゃない。さっさとそれ着て出て行け」
この女の裸を見たところで、一切何も感じない。
昔は、好きでもない女だろうと簡単に抱けたのに。
やっぱりアイツの存在は……俺にとっては大きすぎる。
「私がここまでしてるのに見向きもしないなんておかしいです!どうして……」
本気であり得ない発言をする女。
イライラして舌打ちしてしまう。
「だから自信過剰な女は嫌いなんだよ。いい加減にしろよ、俺がお前なんかに手出すわけねぇだろ。早くここから消えろ」
「……最っ低」
ついさっきまで目を潤ませていた女は、一瞬で怒りの表情になり浴衣を羽織って部屋を出て行った。
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