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「良かったですね伊咲さんとうまくいって。ちゃんと主任の言いつけ守って、私服に着替えて宴会場に戻って来ましたよ」
コイツ、鋭すぎて怖いんだけど。
「主任も結構子供っぽいところあるんですね」
「うるせーよ」
ついさっき自分でも思ったばかりだから否定はできない。
「けど、そろそろ周りに知られておいた方がいいんじゃないですか?あの子、受付に配属されてから人気ありますよ。さっきもあの子に声かけようとしてる社員何人かいましたし」
「……お前に言われなくてもわかってる」
で、その結果やっと今日知れ渡った。
きっと明日には社内中のほとんどが知っているだろう。
「おい。いつまでふてくされてんだよ」
未だにソファーの端に座ってぶつぶつ言っている彼女を背後から抱きしめた。
「噂なんかに惑わされるな。俺とお前がちゃんと繋がってれば、大丈夫だよ」
そう言うと、彼女はゆっくりと俺の方を振り向いてあの俺の好きな笑顔を見せた。
「鳴海さんの『大丈夫』があれば、本当に何でも大丈夫な気がします」
俺もこの笑顔さえあれば、この先何でもできる気がした。
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