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そして、翌日。
鳴海さんの実家に行く前に、私のアパートに寄ってもらい服を選ぶ。
私は、今まで交際した人の家族には一度も会った事がない。
こんな経験、今日が初めてだった。
鳴海さんに恥をかかせないように、私が持っている服の中で1番清楚なワンピースを選んだ。
お化粧も、いつもより丁寧に、少し薄めに。
きっとこういう事は、第一印象が大事。
手土産も、多分大丈夫。
昨日寝ないでネットでいろいろ調べたから。
「お前、大丈夫か?」
助手席でガチガチに緊張している私を、鳴海さんが心配そうに見つめる。
「顔色悪いけど」
「大丈夫です、ちょっと緊張してるだけなんで」
「あんまり緊張すんな。別に頑張ろうとしなくていいから。そんなに長居もしないし」
「大丈夫です!私、鳴海さんの彼女だって認めてもらえるように頑張りますから」
「だから、頑張る必要ないし」
そんな会話を繰り返していると、あっという間に鳴海さんの家の前に着いてしまった。
車を降りて、鳴海さんの後に続いて玄関へ向かう。
すると玄関の扉から、突然小さな子供が2人飛び出してきた。
「タケル兄ちゃんお帰りなさーい!!」
無邪気な男の子と女の子が、鳴海さんに飛びつく。
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