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プロポーズかと、一瞬耳を疑ってしまった。
「あの、鳴海さん。さっき言ってた事なんですけど……」
「さっきって?」
夜景が窓一面に広がるホテルの部屋で、鳴海さんに抱かれた夜。
もう今にも眠りそうな鳴海さんに寄り添って、恐る恐る聞いてみた。
『約束するよ、近い将来』
その言葉の、真意を。
「さっき言ってたじゃないですか。俺達の将来って」
「そう何度も言えるわけねーだろ、バカ」
鳴海さんはいつも私をバカとかアホ呼ばわりする。
本当ならムッとする場面の筈だけど。
私は意外とバカとか言われるのが嫌じゃなかったりする。
「もう寝よ。おやすみ」
「おやすみなさい……」
おやすみと言った直後に、もう寝息を立て始める彼。
その寝顔を見つめながら、願ったんだ。
もし神様がいるのなら、お願いします。
いつか近い将来。
鳴海さんが思い描いている未来に、私の姿がありますように。
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