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いつまでもウジウジしていても仕方ないから、ビールをちびちび飲みながら録画していた恋愛映画を見始めた。
その映画は遠距離恋愛をしているカップルが主役の話。
会いたいときに会えない、そんなもどかしさが見事に表現されていた。
私と鳴海さんは社内恋愛だから、遠距離よりむしろ近距離恋愛。
なのに、今日会えなかっただけで、今の自分と映画の主人公を重ねて見たりしていた。
感動して思いきり泣いた後、いつの間にか眠ってしまっていた。
目が覚めたのは、テーブルに置いていた携帯が鳴り響いたとき。
まだ眠い目をこすりながら画面を見ると、着信相手は鳴海さんだった。
その瞬間、一気に目が覚めて慌てて電話に出る。
「もしもしっ……!」
「お前、今家にいないの?」
明らかにわかる、少し不機嫌な声。
「え……いますよ?」
「じゃあ鍵。早く開けろ」
……まさか。
玄関までの少しの距離を走って鍵を開けると、いかにも不機嫌な鳴海さんが部屋の中に入ってきた。
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