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「にしても、今日の絵麻見たら、さすがの鳴海さんもポーカーフェイスじゃいられないんじゃない?」
鏡の前には、いつもの自分じゃない私がいる。
鳴海さん、綺麗って思ってくれるかな。
「あ、じゃあ私そろそろ式場に行くから。絵麻、入場するとき転ぶんじゃないわよ」
「……気をつけます」
雪ちゃんが控え室を出た途端に、一気に緊張感が襲ってくる。
身内と気心知れた人達ばかりだから、緊張なんてしなくてもいいのに。
胸のドキドキが、止まらない。
「ではそろそろお時間ですので、行きましょうか」
「……はい」
式場のスタッフの方に案内されて、教会の入口の扉の前へ向かう。
扉の前では、バージンロードを一緒に歩いてくれるお母さんが私を待っていた。
「……絵麻。……凄く綺麗よ」
「……ありがとうお母さん」
入籍してもう3ヶ月も経つのに。
今になって何故か、泣きそうになる。
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