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母の目にも涙が溜まっていて、教会に足を踏み入れる前から、2人で感動して泣いてしまった。
「もう……泣かないのいい年して。せっかくの綺麗なメイクが台無しじゃない」
「……お母さんこそ」
そんな会話を時間ギリギリまでして、ついに教会の扉が開く。
目の前には、私の大切な人達の姿。
そして、その奥には。
世界で1番、愛しい人の姿。
母と、一歩ずつ、ゆっくりと前へ進む。
歩く度に、彼へと近付く道。
私を見つめて、優しく微笑む彼。
鳴海さんのタキシード姿カッコ良すぎます……。
どの角度から見ても、絶対に完璧。
そんな事を思いながら歩いていたら。
あと一歩で鳴海さんの元へたどり着く距離で、私の足下がぐらついた。
……どうしよう、転んじゃう!
と、思って目を閉じたとき。
鳴海さんが、片手で私の体を支えてくれて、皆の前で恥をかかずに済んだ。
「ありがとうございます……」
「どこまで危なっかしいんだよ、お前」
「だって、今日ドレスに合わせて12㎝もあるヒールの靴履いてるんですもん」
「だったらもっと気をつけて歩けバカ」
「……鳴海さんのせいですよ。鳴海さんがあんまりカッコ良すぎるからつい……」
そのとき、大きな咳払いが聞こえてきた。
見ると、目の前の外人の神父様が、めちゃくちゃ怖い顔で私達を睨んでいた。
……すみません。
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