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気を取り直して、私達の挙式が始まる。
外人の神父様が話すのは、やっぱり当然といえば当然だけれど英語。
英語のリスニングが苦手な私は、とりあえず頷いてみる。
隣の鳴海さんは、言うまでもなく全ての英語を理解していた。
理解しているフリをしなければいけない自分が、少し恥ずかしかった。
そして式も少し進んだ頃。
神父様の口調が、さっきまでのものと変わった。
神父様は、英語で鳴海さんに問いかける。
『あなたは、この女性を生涯愛する事を誓いますか』
リスニングが苦手な私にも、この英語の意味は理解出来た。
「I will」
誓います。
そう言って鳴海さんは、私を見つめた。
見つめ合う視線。
今までの事が一瞬で頭の中を駆け巡る。
鳴海さんに初めてエレベーターで出会った日の事。
2人で、初めて食事に行った日の事。
初めて電話で、鳴海さんの声を聞いた日の事。
鳴海さんが、私を救ってくれた日の事。
好きだと伝えた日の事。
想いが通じ合った日の事。
初めて鳴海さんに、抱かれた日の事。
結婚して、と言ってくれた日の事。
鳴海さんと出会ってからは、毎日が大切な日で、毎日が忘れたくない日。
私達が出逢えたのは、偶然でもなければ運命でもない。
……きっと、一生に一度の、奇跡。
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