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「鳴海さん、酔ってるんですか……?」
「酔ってるわけねぇじゃん。飲んでないんだから」
……ですよね。
「それより。お前、いつになったら名前で呼んでくれんの?」
ベッドの端に腰かけながら、私を見上げる視線。
よく女性の上目遣いに男性は弱いっていうけど。
鳴海さんの上目遣いは、反則です……。
「おい、聞いてんの?」
「聞いてます……」
「いつも鳴海さんって言うけど、お前もとっくに鳴海じゃん」
そう言われればそうでした。
もちろん名前で呼んでみたことは何度かある。
だけど私にとっては、『鳴海さん』がもう定着し過ぎていて、今更直すのはなかなか難しい。
「……タ、タケルさん」
「ぎこちなさ過ぎ」
「……練習します」
その言葉を聞いて、鳴海さんは浅く笑い私の身体に顔をうずめる。
「まぁ、正直どっちでもいいんだけど。鳴海さんって呼ばれるのも、俺は好きだし」
鳴海さんの顔が触れている部分が瞬時に熱を持つ。
いつも甘えるのは私ばかりで。
だからこんな風に鳴海さんが甘えてくれるのが嬉しくて、私の顔は無意識に緩んでしまう。
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