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「えっ異動決まったの?」
「うん、今総務の部長に言われたの。ずっと異動願い出してたから」
「絵麻が受付からいなくなったら寂しいじゃない。絵麻の代わりに変な女来たらどうしよう」
雪ちゃんは今年も異動はナシ。
やっぱり受付には、雪ちゃんが絶対必要だもん。
「でも、良かったね。やっとやりたい仕事ができるじゃない」
「……うん」
「増渕さんも喜ぶんじゃない?絵麻がSEの仕事に戻るなら」
先輩は前から言っていた通りに、会社を辞めて独立した。
最近やっと仕事も忙しくなって、軌道に乗ってきたみたい。
私も先輩に負けないくらい、頑張らないと。
「あ、でも昔みたいに残業ばっかりやってたらダメよ。あんたもう結婚してるんだから、仕事より鳴海さんを優先しないと」
昔システム部にいたときは、とにかく仕事に夢中になってしまって、夜遅くに帰宅するのが当然の毎日だった。
だけど今は、そこまで仕事に夢中にならない自信がある。
私には、もうずっと夢中になっている存在がいるから。
「それに鳴海さんって、意外と嫉妬深いじゃん。絵麻が残業ばっかりしてたら仕事に嫉妬するかもよ」
「まさか……そんな事はないよ」
なんて、このときは雪ちゃんの言葉を笑って流した。
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