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その日の夜は、鳴海さんはいつもより少し早めに帰宅してくれた。
鳴海さんは昨年昇進して、営業部の課長になった。
営業部主任には、鳴海さんの部下の村瀬さんが就任。
課長になってからは、外回りはだいぶ減ったけれど忙しい事に変わりはないみたいで。
だからせめて家ではゆっくりしてほしい。
毎日帰ってくる家が、鳴海さんの心が休まる場所であってほしい。
「わぁ……ケーキ買ってきてくれたんですか？」
私の大好きなイチゴのショートケーキが抜群に美味しいお店。
「一応お祝いだから。後で食べれば？」
「いただきます！」
今すぐ食べたいくらいだったけど、とりあえずケーキは後のお楽しみ。
2人で夕食を食べながら、話題は私のシステム部への異動の話になった。
「でも、本当に良かったじゃん。思ってたよりも早く異動できて」
「そうなんです！なんかシステム部の藤崎部長が推薦してくれたみたいで」
「へぇ。あの人って、意外と部下思いなんだな。お前の話聞いてたら、ただの酔っ払いかと思ってたけど」
……私も完全にそう思ってました、今日までは。
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