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「まぁ、仕事頑張るのはいいけど。あんまり夢中になり過ぎて深夜まで働くとかやめろよ」
「大丈夫です、昔みたいな働き方はしないつもりなんで」
「とか言いながら、平気で残業しそうだよなお前」
鳴海さんは眉をひそめながら私を見る。
「遅くまで残業の日は俺の車で一緒に帰ること。いいな」
「でもそれだと鳴海さんに迷惑が……」
「いいから。迷惑とかじゃなくて、心配するだろ普通」
前にシステム部で働いていた頃。
当時付き合っていた陽くんによく言われていた。
女は残業なんてしなくていい。
夜遅くまで働く必要なんてないって。
きっと陽くんも、私を心配して言ってくれていたんだろうけど、あの頃はそう言われるのがずっと気がかりだった。
仕事が何よりも楽しくて大好きだったあの頃の私にとっては、あまり言われたくない言葉だった。
でも、鳴海さんが言うと全然違う言葉に聞こえる。
本当に心から私を心配してくれているのが伝わってきて、嬉しささえ感じてしまう。
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