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「いいな~鳴海先輩、あんなかっこいい旦那さんがいて。私の同期からも、断トツ人気ですよ鳴海課長」
ついこの間入社したばかりの子達に早くも人気があるなんて。
なんか、複雑だ。
「沙耶ちゃんも車、乗って行く?」
「いいです、この間の残業で送ってもらったとき鳴海課長嫌そうな顔してたんで。私、先輩の事は好きですけど、課長はちょっと苦手です」
確かに鳴海さんは誰にでも優しい人じゃないから、誤解される事が結構多い。
「わかった、ごめんね。じゃあお先に……」
そう言って席を立つと、入口の所で鳴海さんと部長が何かを話していた。
「タケルさん、お待たせしました」
一応人前では、タケルさんって呼ぶように最近練習中。
気を抜いたら、すぐ鳴海さんに戻ってしまうけど。
「伊咲、明日の午前中には今日やってた仕事ちゃんと終わらせろよ」
「部長、私、伊咲じゃなくて鳴海です」
「うるせーな……鳴海っつったらこっちの顔思い出すから、お前は伊咲でいいだろ。面倒くさい」
部長は頭を掻きながら、私の事を面倒くさそうに睨みつけた後鳴海さんに視線を移した。
「鳴海。お前本当に伊咲なんかで良かったのか?」
……失礼な。
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