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「何だよその顔。式やりたくねぇの?」
「そうじゃなくて、鳴海さんが嫌がるかと思ってたんでビックリしちゃって」
「式は正直面倒くさいけど。でも、お前はやりたいだろ」
……結婚式、したいです。
「あ、でも披露宴とかは俺、無理だから。あんなの恥ずかしすぎて、絶対無理」
「結婚式だけで十分です。ありがとうございます」
子供の頃から、なんとなく憧れていた。
真っ白なウェディングドレスを着て、教会のバージンロードを歩く。
隣を歩いてくれるはずだったお父さんはもういないけど。
でも、きっと、天国で見ててくれるよね。
「来週、お前の家族に報告に行こうか。あと、お前の父さんにもちゃんと言いに行かなきゃな」
「……はい」
鳴海さんはいつも、私の亡くなったお父さんの事も気遣ってくれる。
もちろんお母さんの事も、妹の事も。
その優しさに、私はいつも救われるんだ。
「あ、鳴海さんの家族にも報告に行かなくちゃ……」
「うちは電話でいい。わざわざ家行くの、面倒くさい」
何故か自分の家族には冷たい。
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