0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「なぁ、地球に最後の日が来たら俺達なにしてんのかな?」
「んー、考えたことなかった。」
「俺はヒーローになって悪いやつぶっ倒す。」
「んじゃ僕は悪いやつからみんなを守る!」
「約束だぞ。」
「うん、約束。」
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
「ん、ってもうこんな時間!」
急いでシャワーを浴びる。飯は食わない。歯磨きをして着替えて家を出る。準備時間30分。
「あー、今日もいい天気だ。」
外は雨。でも僕は雨が好きだ。雨の日の匂い。音が。決まって雨の日はぐっすり眠れる。そして持病の天然パーマがうねるうねる。
僕の名前は伊豆守 攻希(いずもり こうき)。高校に通う3年生だ。学校が遠い事もあって今は1人暮らしをしている。
「最近見るあの夢、なんなんだろう。」
最近起きる前に決まってあの夢を見る。小さい頃の記憶?うまく思い出せない。今日は晴れよりも軽い足取りで少し早く学校に着いた。
「ねえ攻希君!これ見て見て!帰り寄ってこうよ!」
と、最近出来たクレープ屋のチラシを持って現れたのは幼馴染の藤沢 葵(ふじさわ あおい)。綺麗な栗色の髪はボブカット。中背細身だが…胸がでかい!校内ではファンクラブがある程のモテっぷりだ。
「葵、悪いけど今日はパス。雨、降ってるだろ?いつもの場所で休んでから帰るよ。」
「そうなんだ、最近一緒に帰ってくれないねぇ。攻希君。」
悲しそうな表情にちょっと心が動く。
「帰るって言っても僕の家は駅までの途中だからすぐ着いちゃうよ。」
「彼女でもできたんだ?攻希君。」
「悪いが僕は初めての彼女は結婚する人って決めてるんだ。」
「ふーん。まあ、いいけど。」
そう言って背を向けて席に戻って行く。一歩目を踏み出したところで振り返った。
「あんまり相手してくれないと、私もいなくなっちゃうかもよ。」
痛いところを突かれる。僕は初恋の子に告白できないまま中学卒業と共に離れてしまったのだ。
「べ、べべべ別に好きな子なんてででできたことも無い!」
「動揺が隠せていないよ、攻希君。」
「もう、席に戻って。」
「ん?なんか言った?」
「席に戻って下さい。」
「え?」
「席に戻って下さいませんか、葵さん!」
「あは、いいよ~。」
完全に遊ばれている。
最初のコメントを投稿しよう!