番外編①sweet days

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「俺ならわざわざ食材切るのも面倒くせぇし、百円とかで買えるレトルトのカレーにする」 「……レトルトのカレー……」 ……その発想はさすがになかった。 もちろんレトルトのカレーだって美味しいし、一人暮らしをしているときはたまに夕飯で食べたりしていたけど。 タケルさんと食べる夕飯に、それを考えた事はなかった。 「お前の手抜きは全部中途半端。手抜きしたつもりで、出来てない」 「……はい」 もう何も反論する事はありません。 「だからお前に手抜きは無理なんだよ。今まで通りでいいから」 私よりタケルさんの方が、私の事をわかっているんじゃないかって思うときがある。 例えば、今だってそう。 いつだってタケルさんに言われる言葉が一番胸に響くし、しっくりくる。 「仙堂なんかの言葉にいちいち惑わされるなよ。アイツはただお前の事からかって遊んでるだけなんだから」 私なんかからかって、楽しいのかな仙堂さん。
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