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「知らねぇよそんなの。それより俺は、毎回不思議で仕方ないんだけど」
「……何がですか」
タケルさんは一切何も悪くないのに、勝手に嫉妬して勝手にいじけてしまう私は本当にウザイと思う。
本当にもう、こんな自分、嫌だ。
「何で今更そんな不安になるわけ?」
「え?」
「俺がお前しか見えてない事くらい、お前が1番わかってんだろ」
「……」
ほら、もう。
みるみる私の頬が熱を持っていくのがわかる。
タケルさんは、すっと手を伸ばして私の手に触れた。
ピーラーで切ってしまった指先に巻かれた絆創膏にタケルさんの視線が移る。
「どうした?これ」
「あ……料理中にちょっと考え事してたら少し指切っちゃって……」
さすがにこんな小さな傷、気付かれるとは思っていなかった。
「危ないから、料理中は妄想禁止。返事は?」
「……はぃ」
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