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「タケルさんも、心配してくれますか?」
『するよ』って言ってほしくて、わざと問いかけた言葉。
口にしてから、自分のあざとさに気付いて自己嫌悪に陥る。
「やっぱりいいで……」
「してるよ毎日」
「……っ」
自己嫌悪に陥ったはずなのに。
次の瞬間には、あざとい自分でもいい、だなんて思っている自分がいた。
だって、こんなにも嬉しい言葉が聞けるなら。
「毎日、お前の心配ばっかしてんだけど」
ソファーの背もたれに肘をつき、私を見つめるタケルさん。
「毎日って……大袈裟ですよ」
ドキドキしながらそう言うと、
「お前の嫉妬なんて、俺に比べれば可愛いもんだよ」
なんて意味不明な返しをされた。
だって私なんて、嫉妬されるような要素は何もないし。
そもそも、話しかけてくる男性さえそんなにいないのに。
雪ちゃんぐらい、結婚後も社内社外問わずいろんな男性から話しかけられていたら、心配になるのは当然だと思うけど……。
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