番外編①sweet days

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「……今日は、いつもとは違うカレーを作ろうと思って」 「ふーん。まぁ、オーソドックスなカレーも美味しいしね」 雪ちゃんは特に何も気にしていない様子で、私がカゴに入れたものと同じカレーのルーを陳列棚から手に取った。 「絵麻が作るカレー、いっつもいろいろスパイス入れてて凝ってるもんね。私も今日はカレーにしようかな」 「……今日はちょっと、いつもより手抜きしようと思うの」 「は?手抜き?何で?」 そこで私は、今日仙堂さんから受けたアドバイスを雪ちゃんに詳しく話した。 「……何そのアドバイス。ていうかそれ、そもそもアドバイスじゃないからね」 雪ちゃんは呆れたような顔をしながら、野菜売場の方へとスタスタ歩いていく。 「え、アドバイスじゃないってどういう……」 慌てて雪ちゃんの背中を追うと、雪ちゃんの足の動きがピタリと止まって。 そして、少し意味深な笑みを浮かべて私を見つめた。 「でも、たまにはいいかもね」 「え?」
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