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「マジでこれ、ヤバイ」
「え……」
そのとき、タケルさんがふわっと私の肩を抱いて、私の髪に優しく触れた。
タケルさんの香りが、私の鼻を一気にくすぐる。
「想像以上に嬉しすぎて、俺今すげぇ舞い上がってんだけど」
「……」
「それに、良かった。お前が何かの病気とかじゃなくて」
そんな、そんな心底ほっとしたような声で。
そんな事言わないで下さい。
涙腺が、破壊しそう。
「わ、私も嬉しいです!何か本当に、夢みたいです……」
私達は少しだけ体を離し、もう完全にいつものクールな表情が崩れてしまっているタケルさんとお互い見つめ合う。
目を綴じると簡単に涙が零れてしまいそうだから、必死に目を見開いて涙を堪えた。
だってここ会社だし、営業部のフロアだし、周りには村瀬さんも柳沢さんもいるし……。
「課長。一応ここ社内なので、そこから先は帰宅してからでお願いします」
その村瀬さんの冷静な一言で、私もタケルさんもやっと我に返った。
危なく、無意識にタケルさんにキスをせがんでしまうところだった。
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