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妊娠している。
この、私のお腹の中に、タケルさんとの子供がいる。
タケルさんが私を好きになってくれた、それ以来の奇跡だ。
「雪ちゃん……どうしよう嬉しくて泣きそう……」
「泣いちゃえばいいじゃん。ていうか、もう絵麻泣いてるし」
涙で滲んだ瞳で雪ちゃんを見ると、雪ちゃんもまた、その猫のような綺麗な瞳を涙で滲ませていた。
「どうしようタケルさんに何て言えばいいんだろ……」
「そのまま言えばいいだけでしょ。あ、でもいい?安定期に入るまでは絶対鳴海さん以外に言ったらダメだからね。妊娠初期は何が起きるかわからないんだから」
「うん。わかった」
雪ちゃんは、お兄さんの奥さんが以前一度初期流産をしているらしく、そういう事に凄く詳しい。
今はそのお兄さんの奥さんも、この間無事に女の子を出産して、雪ちゃんはその姪っ子にメロメロになっている。
「休憩時間まだあるよね。よしじゃあ、行くよ絵麻」
「え……次はどこに?」
「どこって、旦那に報告に決まってるでしょ」
え?タケルさんに報告って……今から?
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