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「体調管理、今からしっかりやった方がいいですよ。妊婦の体はデリケートですから、ちょっとした事でも体調崩しやすいので」
「え……」
「元気な赤ちゃん、産んで下さいね」
「あ……はい!ありがとうございます!」
そして彼女はまたすぐに背を向けて、カツカツとヒールの音を小気味よく鳴らしながら、その場から立ち去って行った。
「……あ!タケルさん!あの、柳沢さんに口止めしておいた方が良かったんじゃ……」
「その必要はないよ」
不安そうにタケルさんの顔を見上げると、さっきまで確かに綻んでいたタケルさんの顔はいつもの余裕なクールフェイスに戻っていた。
「あの人は他人にそういう事を言いふらすような人じゃないから大丈夫だよ。心配すんな」
うん。
タケルさんがそう言うなら、大丈夫だ。
私はタケルさんの言う事に、絶対的な信頼を寄せているから。
「それより、今体調は?」
「あ、今は特に何も……」
「吐き気とかは?」
「ありません。ちょっと熱っぽくてだるいくらいで……」
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