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「財布も別に持ってこなくて良かったのに」
「え?だって、外に食べに行くんじゃ……」
「違うって。絵麻お弁当持ってきてるんでしょ?ランチなんて、あの部長の誘い断るための嘘。用件は、こっち」
雪ちゃんは私の手を掴み、女子トイレへ向かった。
……何で?
「雪ちゃんどうして……」
そこまで口にしたとき、雪ちゃんが私の目の前にある物を差し出した。
「じゃーん!さっき11時半に休憩入ってすぐ、近くのドラッグストアで買って来ちゃった」
満面の笑みの雪ちゃんが手に持っていたものは、今夜私が買おうとしていた例の物だった。
「って事で、私あと30分しか休憩ないから、早く調べてみてよ」
「……えぇっ!?今!?」
嘘でしょ、会社のトイレで調べるの?
ていうか、今?
「だって絵麻がもし妊娠してたら、こんなに嬉しい事ないじゃない。私も早く知りたいし、絵麻だって本当は気になって仕方ないんでしょ?」
凄く気になるよ。
気になるけど。
……ドキドキが、急加速してきた。
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