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「ほら早く!ちゃっちゃと動いて」
「あぅ……」
私は変な声を出しながら、強引な雪ちゃんに促されトイレの個室へ入った。
右手に、妊娠検査薬を握りしめながら。
「絵麻、使い方ちゃんとわかってる?」
扉の外から聞こえてくる雪ちゃんの声。
その声が、更にまた私を焦らせる。
「……多分、わかる」
そして深呼吸を何度か繰り返した後、ついに検査開始。
まず検査の終了を知らせる青い終了線がすぐに浮き出てきた。
「……ちょっと、どうだった?絵麻」
こ、これは……。
「ゆ……雪ちゃんっ!」
私が勢いよく扉を開けると、扉のすぐ傍にいた雪ちゃんの体に思いきり当たってしまった。
「もう……勢い良すぎ!痛いんだけど」
「ごめ、ごめんね雪ちゃ……」
「それよりどうだったの?」
と、私に聞いたのと同時に雪ちゃんは私の右手にある検査薬をじっと見つめた。
「……絵麻」
「……雪ちゃん」
「やった!おめでと!」
雪ちゃんがガバッと私に抱きついてきた。
私も嬉しくて思わず泣きそうになってしまったんだ。
検査薬の結果は、綺麗に陽性ラインを示していた。
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