番外編①sweet days-2-2

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すぐに呼ばれたタケルさんが診察室に現れて、私の隣の椅子に座る。 どうしよう。 エコーで診ているとき、何も言われなかった。 もしかしてまだ時期が早くて何も見えないとか、それとも妊娠は間違いだったとか。 もしくは……。 と、嫌な予感ばかり頭を駆け巡っていたとき。 隣のタケルさんが、無言でぎゅっと私の手を握り締めてくれた。 そうだ。 私、強くならなくちゃ。 隣にいてくれるタケルさんのように、もっと強く……。 「鳴海さん。エコーで診た結果ですが、妊娠していますね」 女医さんからその言葉を言われた瞬間、握り締めていたタケルさんの手に力がグッと込められた。 そして私はというと。 検査薬で妊娠を知った、あの瞬間の喜びを超える喜びが胸に押し寄せてきて。 一瞬で破顔して、涙がボロボロ零れてきてしまった。 「……本当ですか?」 「本当ですよ。これがエコー写真です」 女医さんに渡された、1枚の写真。 そこには間違いなく、小さな丸い生命がハッキリと写されていた。
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