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「まぁそりゃ確かにガキが出来ちゃったら結婚しないわけにはいかねーよなぁ男の責任として」
「別に子供が出来てなくても、彼女といつかは結婚しようと思ってたんですよちゃんと。ただ今回それが早まっただけで……」
「わかったわかった。おめでとさん」
部長が先輩の肩をバシバシと叩き、手荒い祝福をする中。
私はその後ろで、「おめでとうございます」と言いながらまた妄想にふけっていた。
先輩、意外と厳しいパパになりそうだなぁ……。
ちゃんと率先して子育てに協力しそう。
イクメンになるのかな?
先輩の子供、いつ生まれるんだろう。
もしかして出産時期、私と近かったりして。
「伊咲は?」
「……へ?」
突然の先輩からの呼びかけで、私は妄想から現実へ一気に引き戻された。
「だから、伊咲も子供そろそろ欲しいとか考えたりしてるの?」
「えっ……」
……直球な質問。
こういうとき雪ちゃんなら、こんな直球の質問もサラリとスルー出来るんだろうけど、私にそんなスキルはない。
「えっと……」
「あ、ごめん急に口出しして。伊咲だっていろいろ考えてるよなやっぱり。でもそんなに焦る必要はないと思うよ。伊咲だって仕事してるわけだし」
私があまりにも言葉を詰まらせたものだから、優しい先輩は別の意味で捉えてしまったようだった。
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