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「あの、先輩……」
ここは訂正した方がいいのかな。
でも本当の事を先輩に言うのはまだ早すぎる気もするし……。
とりあえず、少し話をずらそう。
「せ、先輩の子供、いつ頃生まれる予定なんですか?もう安定期入った感じですか?」
「あぁ、彼女、まだ妊娠初期でさ。安定期とか俺詳しくわからないんだけど、昨日やっと赤ちゃんの心拍確認出来て」
「えっ昨日確認出来たんですか?いいなぁ……私はあと2週間後なんです」
そう口にした瞬間。
先輩と部長が、きょとんとした顔で私を見た。
「……え?……あ!」
慌てて口を両手で抑えたけど、この行動は当然もう遅い。
……ウソ、私、今サラッと言っちゃった?
「……おい伊咲。詳しく聞かせてもらおうか今の言葉の意味を」
「え、えっと……」
もちろん部長にはちゃんと今日中に報告するつもりだったから、ちょうど良いといえば良いんだけど。
報告の仕方、明らかに間違えてるよね私。
「え、もしかして伊咲……妊娠してるの?」
増渕先輩のその問いに、私はコクリと首を縦に振った。
「おいおいおいおいマジかよ……お前、ちゃんと母親やれんのか?」
……どこまでも失礼な部長だ。
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