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「じゃあ僕、そろそろ会社行きますね。部長、いろいろありがとうございました。何かあったらまた連絡するんでよろしくお願いします」
「おぅ。頑張れよー」
部長はもう完全に元気をなくして、適当に先輩にヒラヒラ手を振って喫煙室へ行ってしまった。
「じゃあ、伊咲もいろいろ大変だと思うけど頑張って」
「はいっ。早く先輩に追いつけるように頑張ります」
「……それにしても……」
と言いながら何かを思い出したのか、先輩はふっと笑みを浮かべて私を見た。
「伊咲の旦那はさすがだね。部長をあんな一瞬で黙らせるなんて。本当、変わってないよなあの伊咲への溺愛っぷり」
私は嬉しいやら照れくさいやらで。
何て返すのが正しいのかわからずに、エヘヘと照れ笑いを繰り返すばかり。
「会議室に入ってきて俺を見つけたときの鳴海さん、マジで怖かったよ。視線に殺意が込められてるんじゃないかと思ったぐらい」
……殺意って。
「でも本当に、伊咲が幸せそうで良かったよ。……凄い、ほっとした」
タケルさんに出会ってから、幸せを感じない日なんてない。
毎日が宝物のような日々。
世界で1番自分が幸せって、私は本気で毎日思ってるんだ。
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